The Vinesのことを忘れないでほしい。全アルバムレビュー




オーストラリア出身のロックバンド“The Vines”

The StorkesやらThe White StripesやらThe Libertinesやらそうそうたる顔ぶれが活躍した00年代初頭の“ガレージロック・リバイバル”ムーヴメントの代表格のバンドのひとつですが、僕は他のどのバンドよりも圧倒的にThe Vinesが好きだった。

しかし、ボーカル”クレイグ・ニコルズ”がとても不安定な人間で、思うように活動できなかったこともあり、今や「過去のバンド」になってしまっている。

正直、僕もここ2~3年まともに聞いていなかったのだが、久々に聞いたら最高のロックだったので、彼らのバンドの歴史やアルバムを紹介しつつ、The Vinesの魅力を伝えたいと思う。

どうか、The Vinesのことを忘れないでほしい。




1st『Highly Evolved』

地元ですら無名のバンドだったThe Vinesですが、「factory」という曲のデモテープを音楽関係者に送ったことで人生が一変します。

3分間のシンプルな曲が音楽業界の目に留まり、瞬く間に1stアルバム『Highly Evolved』をリリース。

しかも、これが世界で200万枚以上売れ、一気にスターダムの道を駆け上がりました。

Nirvana meets The Beatles

当時、The Vinesはよく“Nirvana meets The Beatles”と表現されていました。

個人的にあまり好きな表現ではありませんが、曲を紹介するのに便利なのでこの表現を採用します。

下の曲はまさにThe Beatles的なサイケデリック・バラード。

 

そして、下の曲はまさにNIRVANA的な轟音グランジナンバー。

 

この曲はそれぞれアルバムの5曲目、6曲目です。

The Vinesというバンド、というよりボーカルのクレイグは非常に精神不安定な人間で、『Highly Evolved』というアルバムはそれを体現したような精神不安定な名盤です。

轟音ギターロックかと思えば頭が溶けるようなサイケデリックがあったり、赤ちゃんが泣いているかのようなバラードがあったり、ストレートすぎるロックがきたり、もう感情のジェットコースターみたいなアルバムで、The Vinesの真骨頂を味わえる名盤です。

ガレージロック・リバイバルの旗手っぽい曲を紹介すると、下の曲がまさにそんな感じです。

 

アルバムリリースから10年以上が経つ今、このアルバムはもう1度再評価されていい名盤だと思います。

はじめてThe Vinesを聞くなら、無難にこのアルバムにしておきましょう。

2nd『Winning Days』

『Highly Evolved』ほどではないけど、世界中で売れたアルバムです。

NIRVANA的な曲よりThe Beatles的なバラードが多いアルバムで、The Vinesに激しさも求めるファンからは不評みたいですが、「彼らの真骨頂はサイケデリックにある」と思っている僕は、『Highly Evolved』より好きです。1番好きなアルバム。

このアルバムに収録されている“Ride”という曲は日産自動車やi-PodのCMソングなので、もしかしたら聞いたことがあるかもしれません。

 

僕がThe Vinesに出会ったきっかけは上の”Ride”のMV(当時はPVと呼んでいたなぁ)でした。

はじめて聞いたときから「このバンドは僕のために生まれた」と思うほど体に馴染んで、一瞬で恋に落ちたのを覚えています。

というか、クレイグ、イケメンすぎ。一時期クレイグの髪型を真似ようとしていたなぁ。

 

僕がこのアルバムで1番、いや、大げさではなく世界で1番レベルで好きな曲は下の“Winning Days”です。

 

The Vinesの音楽性の最大の特徴はクレイグの「一人多重コーラス」にありますが、この曲よりそれが活かされている曲はありません。

本当に美しい曲で、学校帰りによく聞いていました。

MVもNHK教育番組みたいな良さがあります。本当、大名曲だと思う。

アスペルガー症候群

そんな感じで順調に売れたThe Vinesですが、デビュー当時からクレイグには奇行が目立ちました。

(上のライブ映像を見れば分かると思います)

ライブ中も明らかに落ち着きがなく、白目向いてるし、音程はめちゃくちゃだし、演奏は放棄するし、バラードで急に叫ぶしでめちゃくちゃです。

日本公演でも客に暴言を吐き、英語が分かる客が言い返し、一触即発なんてこともありました。

そんなクレイグに耐えかねた1番の親友だったベーシストは、ライブの途中でステージを降り、そのままバンドを脱退してしまいます。

こうして順調な活動に陰りの見えたThe Vinesですが、さらにファンに衝撃が走ります。

クレイグが「アスペルガー症候群」であることが発覚したのです。

医者曰く、「1番向かない職業」であるロックスターに急激にのし上がり、たくさんの観客の目に晒されたクレイグの精神は崩壊寸前だったのです。

こうしてThe Vinesは活動休止を余儀なくされ、名声から遠ざかっていくことになりました。

そういえば、Radioheadのトム・ヨークが何かのイベントでクレイグを見たときに、「この人は誰かが救ってあげないと音楽ができなくなる」と思った。みたいなエピソードがあった気がします(※曖昧な記憶です)。

3rd『Vision Valley』

そんなクレイグでしたが、何とか復活を果たし3rdアルバムがリリースされます。

しかし、これは完全に「抜け落ちた」という表現が似合うアルバムで、2nd以前の才能ほとばしるロックはありません。

(2ndまでらしい曲もありますが)

実際、この頃のインタビューを見ると「昔の曲の一部は記憶がない」と発言しているので、精神を病んだことで文字通り音楽の才能が抜け落ちたのかもしれません。

ある種「葬式モード」なアルバムで、そのローな感じが僕は大好きなんですが、一般的には評価の低いアルバムです。

でも、僕の大好きな曲“Spaceship”はこのモードだからこそ生まれた気がします。

 

上のライブ映像を見たときは本当にびっくりしました。

まず、ものすごく太っている。これは薬の副作用によるものみたいです。

そして、ものすごく安定している。今までではあり得ないくらい、ちゃんと演奏し、歌っている。

それを見て安心するとともに、別人になってしまったような、魂が抜け落ちてしまったような悲しさを覚えた記憶があります。

4th『Melodia』

そんな感じで落ちていくかと思われたThe Vinesですが、4thで復活を果たします。

『Melodia』は洋楽雑誌でも取り上げられていた記憶があるし、2ndまでとは比べものになりませんが、世界でもまぁまぁ売れました。

実際、曲の勢いも1stの頃に完全に戻っています。

 

また痩せてイケメンに戻っているし、ライブはかつてのような荒々しさが戻りつつ安定しているし、新しいベーシストも確保できたし、これでThe Vinesも一安心だなぁ。と思った記憶があります。

そういえば、この年はフジ・ロックにも出演を果たしていますね。

 

あと、4thには「True As The Night」という大名曲も収録されていて、僕はもう嬉しくてたまりませんでした。

 

やった!これならいつまでもThe Vinesの音楽を聴けるぞっ!、と。

5th『Future Primitive』

前作のガレージロック・リバイバル路線とは異なり、非常にサウンドが豊かで、打ち込み、シンセ、エフェクトを多用したアルバムになりました。

僕は大好きな路線なんですが、世界ではあまり受けなかったようです。

“Candy Filppin’ Girl”とか“Cry” とか大好きなんですけどね。

 

でも、正直言うと、この時期は僕もThe Vinesに以前ほど熱中しておらず、あまりバンドの動向を追っていませんでした。

僕のような人が多くいて、どんどんThe Vinesは世界から消えていったのかもしれません。

正直、「毎回同じような曲をやっているバンド」であることは間違いないので、世界でもう一花咲かすことはもうないのでしょう。

6th『Wicked Nature』

僕の記憶からThe Vinesが完全に抜け落ちそうな時期に、気づけばリリースされていたアルバムです。

 

気づけばメンバーが全員変わっているし、クレイグは短髪になっていました(でも、似合っている)。

調べてみたところ、家族に暴行を振るって警察のお世話になったりもしていました。

アルバム自体はグランジ色の強いアルバムで悪くないのですが、今や”The Vines”という名前を冠しただけの別のバンドになってしまっているので、もちろんかつての輝きはそこにはありません。

『Future Primitive』まではライブ映像なども見つかりますが、このアルバムのライブ映像はほぼ見つかりません。

こうして、The Vinesは世界から忘れられていきました。

今のところ、これがThe Vinesの最後のアルバムになっています。

まとめ

「世界から忘れ去られた」

なんて言いましたが、日本にいる僕は知らないだけで、今も地元ではそこそこ売れていて、むしろその規模で細々活動している方がクレイグにとっては幸せなのかもしれません。

または、僕が知らないだけで、クレイグはすでに音楽をやめて、薬でもキめて幸せにやっているのかもしれません。

現状は知りませんが、久々にちゃんと聞いたらThe Vinesはやっぱり良いバンドだったし、1人でも多くの人に聞いてもらいたいな。

と思って、このような記事を書いてみました。

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それでは、楽しい音楽ライフを過ごしましょう!

以上、「The Vinesのことを忘れないでほしい。全アルバムレビュー」でした!

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